とりあえずジュネーブをうろうろしてます。
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何事であれ経験はいい教科書になる。
でも、経験している間の苦労は格別だ。
それは最低であったり、意外であったり、感動を伴う。
昨晩は持病の兆候があったので、仕事もブログも中途半端にして、
英国の医師から処方された常備薬を投与して、
様子を見ていた。
そのクスリを投与することは年に何回もないのだが、
スイスに来て以来、すでに4回も使っている。
明らかに体調はよくない。
しかし、スイス登録医で受けた検査ではその持病以外、
拙の身体はコレステロールも脂肪も低く、
パー璧な肉体なのだそうだ。
でも、日本の医者には「もっと痩せましょうね」と言われるから、
なんのこっちゃか判らない。
筋肉は脂肪よりもだいぶ重たいので、ほっといてくれと勝手に思うまでだ。
その持病は発症すると七転八倒の激痛を伴う。
処方された薬はそのためのものだが、
今回はそれが効かない。
しかも、30分後、1時間後、激痛は増大する。
もはや夜中の12時。
スイスでは、救急病院に直接駆け込む。有料で最低料金200フランの緊急往診の車を依頼する。救急車を頼む。という3つの方法がある。
手持ちに200フランクがなかった。救急病院の正確な位置が判らなかった。ということで、救急車を頼んだ。もちろん、これも有料だ。
驚いたのは、電話を掛けると既にこちらの住所などの詳細が救急隊に判っていること。しかも、英語で対応。と言っても、「痛い」のhurtという言葉を心臓のhartと思い違いしたらしく、心臓の特別救急隊までやってきた。
屈強な救急隊員が「心臓が痛いのか」とフランス語で尋ねて来たので、判ったこと。玄関先でうずくまっている拙は仰向けに寝かされ、そのまま応急処置を受けることに・・・。
「いえ、痛いところは違います。ここです。それに、・・・英語話してくれますか」
紅一点が拙の左手に輸液針を刺し、包帯でぐるぐる巻きに。
英語でコミュニケを取りながら、処置を決める。こういうときは苦しいけど、できるだけ言葉を多くして、相手に情報をたくさん与えた方が良かろうと、持病の履歴を語った。彼らの英語は完璧ではないので、判らない用語には素直に質問してくれる。こちらの英語がたどたどしいと彼らも治療に戸惑うし、間違いも増える。
そういうリスクをメリケンドラマERで観ていたので、ノウハウとして活用できた。すごいぞER。あの番組のインド人医師が好きだ。彼女は映画"Bend it like Beckham"に出ていた女優Parminder。共演していたKiera Knightlyの方が今や有名。
ともあれ、「痛みのグレードを0から10に例えると、どれくらいか」と聞かれたので、前回右側の時には気を失ったので、それを10とすると今日は9.5くらいだ。気を失ってもいい?などと、こんなときでもくだらない冗談を言ってしまう拙。
メディックスたちは言う。
「じゃあ、モルヒネ注射しよう」
「え?モルヒネ?あの癌の末期患者が使うあのモルヒネ?」
「んー、のようなものよ」
紅一点が拙の左手輸液管に注射を準備する間、
拙の気を反らすかのように右側から屈強なおっさんパラメディックが質問を投げかける。
でも、内容は忘れた。
この時分、モルヒネでかなりラリっていたのだろう。
痛くて、眠くてしょうがなくなっていた。
時々「おい、気を失ってないか」という言葉が聞こえたので、目を開ける。
注射の後、数分で痛みはかなり消えて行った。
「10のうちいくつ?」
「5か6かな」
「10のうちいくつ?」
「4か5かな」
救急病院に着いてからも、痛みのレベルはこれ以下にはならなかった。
英国の救急医療でも同じ症状、いやもっとひどい症状を扱ったことがあったが、
彼らはこんなに徹底していなかった。
たぶんモルヒネ投与などはこういう初期症状では使わないのだろう。
スイスで働く日本人のお医者様に聞く限り、スイスではモルヒネなどの劇薬でも効果が高ければ、簡単に使うという話を聞いたことがある。その事実は目の前にすると衝撃的だったわけで、英国NHSのように痛み止めを出すまで5時間も七転八倒させることなどないのだ。
ただ、困ったのはその後だった。
この続きは次回。

でも、経験している間の苦労は格別だ。
それは最低であったり、意外であったり、感動を伴う。
昨晩は持病の兆候があったので、仕事もブログも中途半端にして、
英国の医師から処方された常備薬を投与して、
様子を見ていた。
そのクスリを投与することは年に何回もないのだが、
スイスに来て以来、すでに4回も使っている。
明らかに体調はよくない。
しかし、スイス登録医で受けた検査ではその持病以外、
拙の身体はコレステロールも脂肪も低く、
パー璧な肉体なのだそうだ。
でも、日本の医者には「もっと痩せましょうね」と言われるから、
なんのこっちゃか判らない。
筋肉は脂肪よりもだいぶ重たいので、ほっといてくれと勝手に思うまでだ。
その持病は発症すると七転八倒の激痛を伴う。
処方された薬はそのためのものだが、
今回はそれが効かない。
しかも、30分後、1時間後、激痛は増大する。
もはや夜中の12時。
スイスでは、救急病院に直接駆け込む。有料で最低料金200フランの緊急往診の車を依頼する。救急車を頼む。という3つの方法がある。
手持ちに200フランクがなかった。救急病院の正確な位置が判らなかった。ということで、救急車を頼んだ。もちろん、これも有料だ。
驚いたのは、電話を掛けると既にこちらの住所などの詳細が救急隊に判っていること。しかも、英語で対応。と言っても、「痛い」のhurtという言葉を心臓のhartと思い違いしたらしく、心臓の特別救急隊までやってきた。
屈強な救急隊員が「心臓が痛いのか」とフランス語で尋ねて来たので、判ったこと。玄関先でうずくまっている拙は仰向けに寝かされ、そのまま応急処置を受けることに・・・。
「いえ、痛いところは違います。ここです。それに、・・・英語話してくれますか」
紅一点が拙の左手に輸液針を刺し、包帯でぐるぐる巻きに。
英語でコミュニケを取りながら、処置を決める。こういうときは苦しいけど、できるだけ言葉を多くして、相手に情報をたくさん与えた方が良かろうと、持病の履歴を語った。彼らの英語は完璧ではないので、判らない用語には素直に質問してくれる。こちらの英語がたどたどしいと彼らも治療に戸惑うし、間違いも増える。
そういうリスクをメリケンドラマERで観ていたので、ノウハウとして活用できた。すごいぞER。あの番組のインド人医師が好きだ。彼女は映画"Bend it like Beckham"に出ていた女優Parminder。共演していたKiera Knightlyの方が今や有名。
ともあれ、「痛みのグレードを0から10に例えると、どれくらいか」と聞かれたので、前回右側の時には気を失ったので、それを10とすると今日は9.5くらいだ。気を失ってもいい?などと、こんなときでもくだらない冗談を言ってしまう拙。
メディックスたちは言う。
「じゃあ、モルヒネ注射しよう」
「え?モルヒネ?あの癌の末期患者が使うあのモルヒネ?」
「んー、のようなものよ」
紅一点が拙の左手輸液管に注射を準備する間、
拙の気を反らすかのように右側から屈強なおっさんパラメディックが質問を投げかける。
でも、内容は忘れた。
この時分、モルヒネでかなりラリっていたのだろう。
痛くて、眠くてしょうがなくなっていた。
時々「おい、気を失ってないか」という言葉が聞こえたので、目を開ける。
注射の後、数分で痛みはかなり消えて行った。
「10のうちいくつ?」
「5か6かな」
「10のうちいくつ?」
「4か5かな」
救急病院に着いてからも、痛みのレベルはこれ以下にはならなかった。
英国の救急医療でも同じ症状、いやもっとひどい症状を扱ったことがあったが、
彼らはこんなに徹底していなかった。
たぶんモルヒネ投与などはこういう初期症状では使わないのだろう。
スイスで働く日本人のお医者様に聞く限り、スイスではモルヒネなどの劇薬でも効果が高ければ、簡単に使うという話を聞いたことがある。その事実は目の前にすると衝撃的だったわけで、英国NHSのように痛み止めを出すまで5時間も七転八倒させることなどないのだ。
ただ、困ったのはその後だった。
この続きは次回。

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お大事になさってください
大変だったんですね。読みながら、自分も痛みを少し感じてきました。(10のうち0.1)失神直前でそんな冗談を発する牧歌さんがすごい。しかも私も少し笑ってしまいました。(すいません)
モルヒネはうちの主人も骨折で手術をしたとき自分の意思でボタンひとつで投与しまくりでしたけどね。
それにしてもお大事になさってくださいませ。
続きが気になる。
モルヒネはうちの主人も骨折で手術をしたとき自分の意思でボタンひとつで投与しまくりでしたけどね。
それにしてもお大事になさってくださいませ。
続きが気になる。
Re:お大事になさってください
失神直前に冗談を言う自分に、太宰治の「人間失格」の序章を重ねてしまいます。なんで、こうして人に気を配ってしまうんでしょうねえ。素直に苦しんでいりゃいいのに。
無題
お大事にぃ。ほんと、そんな時でもジョークを絶やさない牧歌さん、凄いわ。(私も笑ってしまいました。)
モルヒネ・・ 私もアメリカで帝王切開後、モルヒネでしたよ。殆ど【食べ放題】状態だったみたいですが、私は痛みに強いので余り使わずに済み、看護婦さん達を驚かせてました。
今は少しは回復されたのですか、ブログを書くエネルギーはあるようですね。
ERのインド女医さん、素敵ですよね確かに。
モルヒネ・・ 私もアメリカで帝王切開後、モルヒネでしたよ。殆ど【食べ放題】状態だったみたいですが、私は痛みに強いので余り使わずに済み、看護婦さん達を驚かせてました。
今は少しは回復されたのですか、ブログを書くエネルギーはあるようですね。
ERのインド女医さん、素敵ですよね確かに。
加奈子さん
拙妻も歯医者では麻酔を断るんですよね。お前はマゾか。と突っ込んでも、痛みよりも麻酔の副作用の方が怖いそうです。アレルギーではないんですが、効果がなくなる経過に覚える不快感が嫌いだそうです。
あらぁ、、
夜中の救急車、大変でいらっしゃいましたね。
そうですね、まだまだスイスの医療システムはお金にせこくなくて患者寄りの気がします。そちらでいいドクターが見つかるといいですね。
それにしても、最近お疲れなのでしょうか。お大事に。
そうですね、まだまだスイスの医療システムはお金にせこくなくて患者寄りの気がします。そちらでいいドクターが見つかるといいですね。
それにしても、最近お疲れなのでしょうか。お大事に。
Re:あらぁ、、
短期間に話題満載であります。日本大使館の方々にも「え、まだ一月?全然そんな風にお見受けしませんねぇ~」と言われてしまいました。まあ、ずっと外国に住んでいますからねぇ。ところで、救急車の料金は人によって説が異なり、有料なのか、無料なのかまたまた判らなくなってしまいました。