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日本に居る頃は気にもしなかったことなのに、在外生活ではないものねだりをしたくなる。
日本の定食の中で納豆と言えば、小鉢に収まっている。他にも焼き魚、汁物、香の物、生卵と焼き海苔などが付くのでそれで満足してしまう。たぶん日本におれば、何年納豆を食べなくとも気付かないのではないだろうか。それだけ食材が豊富なのか。
在外生活では事情が異なる。むしょうに納豆が食べたくなることがある。2合炊いた白飯がなくなるほどの勢いで食べたいのに1パックの納豆では満足できない。必然、高価な納豆の2パック目を開けることになる。
納豆が家計を圧迫する事態になってはならない、と一念発起し、渋谷の投球ハンズで購入した「納豆の素」を取り出す。
生大豆500gに対して耳掻き一杯とある。冷凍してある納豆をタネにする方法はたとえそのタネ納豆が一粒でも孤独に発酵して、協力な香りを引き出すので、やはり菌を使った方がいいと判断する。
大豆は一昼夜水にさらした。もし、これが人間だったら大変なことだ。どれだけふやけてしまうのだろうか。過去には拷問で水責めもあった。実際に聞いた話だが、友人の80歳の母親はバスタブから出られなくなり、二昼夜を過ごしたそうである。動けなくなった理由は判らないが、その後3日間ほど入院したそうだ。怖い。
水にさらされた大豆は心配されるどころか、「ちゃんとふやけたかな」と念を押される。ふやけて喜ばれるなんて、大豆は幸福ものだ。そうか?
蒸したほうが旨みが残るという説が大半なので、高圧釜で蒸すこと30分。蒸しあがった大豆に納豆菌をばら撒く。
これから24時間以上発酵させるために、よく殺菌した40度の箱が必要である。もちろん、茹で上がる前に庫内を40度以上にあげておく必要がある。これは重要なポイント。
最近のウェブを見ると欧米ではオーブンを使うのが主流のようだ。保温機能があれば、それを使えば良いが、庫内に40Wの電球を入れて保温する方法もある。すごいなあ、よく思いついたなあ。
拙宅のオーヴンには50度からの保温機能がついている。しかし、1時間半で自動的に切れてしまう。その自動スウィッチを解除しようと仏文マニュアルを読む。・・・・・・さっぱり判らないので、妻に頼んだが、返事がない。納豆にはあまり協力的ではない。納豆は君のいないときに食べるからさ、と説得。彼女は仏語もドイツ語も出来るので、一応目を通してくれたものの、やはり判らない。試行錯誤してみたものの、なんとも不安定なので、結局クールボックスを使うことに。
湯たんぽと2リットルのペットボトルに熱湯を入れる。あらら、ペットボトルが溶けた。ならば、半分水を入れて漏斗を使って、水の真ん中に熱湯を落とす。これならペットは溶けない。
湯たんぽとペットであらかじめ温めておいたクールボックスの庫内にアルミ箱にいれた納豆を投入。この際、ひとつが雑菌などでダメになっても、他が大丈夫なように箱を小分けにする。納豆製造のリスクマネージメントだ。そして、アルミフォイルで蓋をして、空気穴を作る。
後は24時間から36時間の温度管理。納豆菌の活躍温度は40度から80度。熱湯を入れた湯たんぽとペットは10時間ほど庫内を40度以上に保つ。温度が高いと発酵も早いのか、大豆の表面はどんどん白くなる。
24時間経って完成。と思う。一晩冷やしてからかき回してみると見事な粘り。やはり粘ったモノには達成感が訪れる。高校野球も粘りと勢いのあるチームには勝利以上の達成感がもたらされる。 筈だ。
で、白飯と同じ量の納豆を頬張ってみる。まあ、美味い。しかし、作っているときほどの興奮はない。やはり納豆とはその程度のものなのだろうか。あるいはおいしい作り方があるのだろうか。それは今後の課題。
実はこの納豆、サンモリッツでトレーニングをするマーラ・ヤマウチに持っていくつもりで作ったもの。マラソンも粘りのスポーツだ。