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今回は英国ネタ。
在スイス、ロイヤル・オーヴァーシーズ・リーグ(以下ROL)の会合とデナーに参加。
ROLとは元々海員の互助組織、友好同盟で1910年来の歴史を持ち、
ロンドンのセント・ジェームズス・エリアの紳士倶楽部と同じように鎮座する由緒正しき倶楽部だ。
支部は英連邦内を中心にして世界中に広がり、
元海兵や元船員、そして現海兵と現船員にメンバーとしてのベネフィットを供与している。
「対象は英国人紳士だけなの?」
と聞くと、同会長が首を振る。
「女性もOKだし、人種、国籍は問わない。日本人は多いに参加してもらいたい」
とのこと。
さて、ひと仕事やりますかね。
日本人が入れるジェントルマンズ倶楽部の仕組みを作ってやろう。
水泳ではシル・ブ・プレばあさんという強敵を、
「それは人種差別ではないですか」
という一言で撃退したものだが、
今回の場合はどうも頭をひねる状況にある。
エレベータで鍵を拾ったのである。
全部で9箇所の鍵であるから、全財産をカバーしているわけで、
しかも、キーケースには住所、氏名、電話番号が書いてある。
これでは泥棒に入って下さいと言っているようなもの。
ほとんどアホだ。
管理人がホリデーで不在だったので、
階下の郵便受けで名前を確認するも、留守。
鍵の紛失に気付いていないとは、
ますますもって、アホウだ。
共通ドアの鍵もここにあるから、
インターホンを使わないと入れないだろうと、
張り紙をしておいた。
念のために紛失者自宅ドアにも張り紙。
もちろん英語だ。
1時間半後、仕事の最中、階下がやかましい。
どうやら、紛失者が近所の人々を巻き込んでいるようだ。
たぶん英語のメッセージが読めないのだろう。
でも、階は判るだろうし、こちらの名前も書いてあるのだから、直接来ればいいのに。
来ると、マダムはメルシー、メルシー、メルシー、ボクー、ボクー、ボクー・・・の連呼。
こういうお礼の言い方もあんのね。
「鍵をお渡しますが、アナタがマダム〇〇であることを証明してください」
と言うと、
メルシーおばあさんは、ケスクセ?
「アナタがマダム〇〇であるかどうかは私には判りません。誰かに証明してもらうか、パスポートかIDを見せてください。さもないと、私は何かしらの責任に問われる可能性があります」
メルシーばあさんは、英語をまったく解さず。
ならばと、隣のドアを叩く。
いない。
階下の住人のドアを叩く。
いない。
すると、メルシーばあさんは、合鍵で自分の部屋のドアを開けた。
ここが私の家です、というジェスチャー。
じゃあ、まあこれで証明されたとするか、と鍵を渡すなり、最後に無表情にメルシーと述べて、自室のドアを閉めた。何か憮然としていた様子。
階下の住人だと言っても、会ったことないからそうする以外に仕方ないじゃん。
さもなければ、拙は見知らぬ人に無条件で鍵を渡すことになってしまう。
とどのつまり、拙は彼女の財産を守ってあげた。
悪いやつなら知らん振りしていることも出来たし、家に侵入することも出来たわけだ。
部外者の入れない構造になっているとしても、見知らぬ人々もけっこう出入りしているわけで、
メルシー連発して、コトを済ませる神経が知れない。
拙なら後で、花束とかワイン1本とかお届けする。
あるいは、鍵に個人情報を付帯させておくくらいだから、やはり相当のバカなのか。
メルシーボクーが、メルシーバカーに聞こえてきた。
彼女は80歳前後、このアパートには新築だったころから40年に渡って棲んでいる。
かつて、ジュネーブとはそんなに安全な街だったんだろう。
考えてみたら、拙も相当なバカ・・・正直。
7月14日午後10時半、
ジュネーブを囲むフランス国境沿いからどんどん打ち上げ花火が上がっている。
そ、この日はフランス市民がバスティーユ牢獄を襲撃したフランス革命勃発の日なので、
花火も勃発するのである。
この日はメリケン国なら7月4日の独立記念日、
エゲレスならQBPと言われる女王陛下の誕生日
に相当するわけで、共和制や王制の違いも面白い。
この日は昼から、在寿府フランス代表部と代表大使公邸で、
夕方はレストランを借り切って、フランス総領事のレセプションが開かれた。
在寿府フランス総領事のスピーチ。
ところで、バスティーユとは牢獄を意味する普通名詞であって、特定するとパリのバスティーユ牢獄になるということだ。襲撃したけど、中には政治犯はいなかったというマヌケな話もある。
フランス革命の締めくくりとも言えるルイ16世の処刑と言えば、サンソンという死刑執行人の話も有名だろう。確か、彼について書かれた本は世界中でベストセラーになったことがある。
ルイ16世の生首はその後塩茹でにされ、耳とか目玉とか、いろいろなパーツにされて、人々に分配されたということで、それらがホルマリン漬けになって現在も尚どこかに残っているという話を聞いたことがある。その人々にとって、「フランス最後の王」を身近に感じたかったのかもしれないが、この話が真実だとすると、200年前というのはけっこう蛮性の残された社会だったのかな、と思ったりした。
第9節は雨で流れ、ゲームは8月のいつかに持ち越される。
で、本日は第10節。
同じ原子力共同機構内のチームが相手。
本日は主要メンバーが欠員。
何を隠そう、拙も所用で欠席。
拙は毎試合3打点は上げているし、ノーエラーだからと、
出場を打診されたが、出られないものは出られない。
ゲームは中盤まで苦戦を強いられたそうだが、
ある人物の不用意な一言をきっかけに全員が奮起したそうだ。
「牧歌が居ればなあ」
この一言で、エラーを続けたショートアウトフィールダーの選手フィルが、その経験の少なさもあって、大きく傷ついたのだが、アメリカ人のランディがいつものように現実的で的確なサジェスチョンをした。
「今、彼はいないんだ。それよりも皆でフィルを信頼しよう。な、フィル、大丈夫だよな。いつも通りやればいい」
かくして、フィルは捨て身の守備でアウトに貢献し、その後はノーエラーとのこと。
試合は12対5で勝利。9戦8勝1敗。
でも、ランディって練習に出てこないで、なんで「いつもどおり」と言えるんだろう。
まあ、年の功ってことで。
スイス人の不躾さには頭も来るし、閉口させられることも多いが、そういう奴らを相手にしているからこそ、「ここぞ」というときは損をしたくないと頑張る気持ちになる。
歯の治療ミスがあったので、数週間掛けて訴え続けた。もちろん、ミスとは言わない。ミスであることを主張すれば、かえって意地になって認めないばかりか、完全に否定されるだけだ。たぶん、この国のメンタリティとはそういうものだろうし、ヤクザやギャングが居ない分、一般人には「黙っていてなんぼ」のような考え方が浸透していると分析している。そういう考え方の背景になるものが、独特の主張を勝ち取ってきたスイス史の中に垣間見る。
ともあれ、どうにかしてその歯科医師にミスを認めさせようと案じた。衛生士に頼んで、調子の悪いところを診てもらい、X線撮影したら、問題が特定された。証人は衛生士であり、歯科医師は第三者の意見でミスを認めざるを得なくなった。
それでも、歯科医師はミスとは言わない。先のクラウンの形が不適切だったから、隣の歯の詰め物を取り替えて成形するということになった。
「コスト負担は私じゃないよね」
と念を押す。
「この治療には通常1000フランク(約10万円)掛かりますが、これはアナタのコストではありません」
「つまり、それはアナタ(歯科医師)のミスだからでしょ」
とは言わない。
ここは穏便に治療を待つのみ、と言葉を飲み込んだ。拙は無料の治療さえ確信できれば、それでいい。かくして、現在は健康な歯が夏の日差しの中で輝く。
もうひとつ、交渉勝ちの件。
盗まれたリュックサックの代わりを購入したが、5千円相当もしたのに、縫製が悪くて使い始めてすぐにあちこちがバラけ出した。返品しようとしたが、オリジナルのレシートを保険会社に送ってしまった。リカバリーにこれだけ掛かりました、というレポートに添付したのである。店員はオリジナルのレシートがないと返品不可と自信を持って言い切るので、一旦諦めた。
しかし、後日同じリュックサックが売られているのを見つけて、ムラムラと闘志が湧いてきた。レシートのコピーをコピーして、店員にマネージャと話させろと要求。マネージャはいろいろ考えた挙句、いきなり「OK,返金しましょう。不良品だもんね」
交渉してみるものだ。本日、損しなかったのは〆て1,050フランク。ま、10万円相当なんで、悪くないでしょ。
交渉にも国民性をみてやらんとね。一番難しい交渉相手は大阪のオバちゃんかな。